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映画・テレビ

2013年5月13日 (月)

映画「リンカーン」とジェンダーの視点

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(写真は「リンカーン」のジャケット 花は母の日の子ども達からのプレゼント)

5月12日(日)

 

 アメリカ憲法第13条はアメリカの奴隷制廃止の画期的な修正である。即ち、次のような条文である。 第1節 奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とする時を除く。

 この条文は世界各国の憲法に受け継がれ、日本国憲法第18条にも同じ条文がある。奴隷制を廃止するために、この条文を下院で可決するために大統領のリンカーンは奴隷を財産として財産を築いた資本家を代表する反対派下院議員と如何に闘い、議会で多数派を形成したか、という映画が現在上映されている。スピルバーグ監督、ダニエル・デイ=ルイス主演「リンカーン」である。

 反対派議員が「奴隷を自由にしたら彼らに選挙権を与えなくてはならないではないか!」と議場で演説した時、議場は割れんばかりの怒声が鳴り渡る。そんなことが許されないという回答である。そしてもっと怒声が鳴り響いたのは、彼が「同じように、女性にも参政権を与えると言うのか!」と叫ぶときである。議場には更に割れんばかりの怒声が響き渡った。

 黒人奴隷に選挙権なんてとんでもない、そしてそれは女性に参政権を与えるようなものではないか、というわけである。この議員の演説は当時の米下院議員たちのかなりの共感を得たのである。

 アメリカ独立宣言が1776年に発せられて人権が歌い上げられて90年も経た後のアメリカの人権感覚である。それは白人男性のためのものであって、黒人奴隷や女性は除かれていたのである。フランス革命の人権宣言(1789年)もしかり。映画「リンカーン」のこの短いシーンは女性の人権についての鋭い批判にもなっている。アメリカでは黒人よりも遅れて女性の人権が認められた。ユダヤ人だというスピルバーグ監督の人権感覚を垣間見たシーンであった。そういえば「シンドラーのリスト」も彼の監督作品である。

 ところで、自民党の日本国憲法改正草案は日本国憲法第18条から[奴隷]という言葉を削除しているのだ。日本軍「慰安婦」を連想させる「性奴隷」という言葉を嫌ったのかもしれないが、リンカーンが命をかけてアメリカ憲法に記入し、世界の人権宣言に受け継がれている「奴隷制廃止」の精神を、安倍内閣と自民党はかなぐり捨てようとしている。日本の近現代史に目をつむる安倍内閣は世界の人権闘争にも目を塞ごうとしている。

 自らの命と引き換えに奴隷解放という偉大な1歩を歴史に記したリンカーン。百数十年の歴史の進歩を逆戻りさせようとする某国の首相に後世、どのような評価が与えられるのか。