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2014年10月

2014年10月31日 (金)

東学農民軍の歴史を訪ねる旅

Photo Photo_2

(写真左 南山~新羅時代の大乗仏教遺跡の仏像前で、中塚明先生と「ゼミナール」のメンバーら^10月19日。写真 右 東学革命慰霊碑・牛禁峠戦闘地にてー10月22日)


第1日―暗闇の中、崔済愚(チェ・ジェウ)の墓を訪ねる

今回の旅は第9回。日本側からは中塚明奈良女子大学名誉教授はじめ、40名と添乗員2人の大所帯。韓国で更に現地の方々と合流の予定。『慰安婦』問題とジェンダー平等ゼミナールから、吉川、具島、後藤、五十嵐、安達と5名が参加した。成田空港からKE716便1225分発で天候も良く順調に出発。昨年は台風の直撃で私は春日部の自宅から成田空港迄方6時間半かかった事を思えば天国と地獄の違いだ。

ところが釜山・金海空港に着くと、とっくに着いているはずの福岡便が大幅遅れで到着していない。それを待って、2台のバスで初めの訪問地慶州へ向かう。バスの沿線風景は稲穂が黄色に実り日本の秋の風景を変わらない。途中で韓国の参加者と合流して、土曜日の渋滞に巻き込まれながら、崔済愚(チェ・ジェウ)の生家、お墓についた時には秋の日はとっぷり暮れていた。真っ暗やみの中白い門をくぐり寺の石畳を手探り(足探り?)で通り抜け、門の前で暗闇の中朴先生の説明を受けた。

 

 

現地案内は昨年と同様、朴孟洙(パク メンス)先生である。崔済愚(チェ・ジェウ)は東学の創始者だが、朝鮮王朝政府をはじめ支配階級から邪教を広めるものとして逮捕され1864年に「左道惑民(正しくない道を説いて人を惑わす)」を理由として処刑された(中塚明、井上勝生、朴孟洙『東学農民戦争と日本』)。ここは東学の生みの親である彼が生まれ思想形成したいわば聖地というべき寺である。

 

 

 レストランでは、遅い夕食(カルビ)と参加者42人と、北海道から熊本まで日本各地からの参加者の自己紹介。それを終えてホテル到着。みんなが解散後、翌日午後の大邱での交流会の対応について、吉川、具島、後藤、五十嵐で若干の打ち合わせ。部屋に落ち着いた時は10時近かった。

 

2日 現地案内は朴孟洙(パク メンス)先生

 

午前、―新羅時代の大乗仏教遺跡、慶州国立公園南山を見学。

 

「南山に登らないと慶州を見たと言えない」といわれる遺跡見学新羅文化の全て、仏教文化の全てが保存されている。朴先生によると、東学農民党と仏教のつながりを示すためにここを訪問。浄土世界をこの世に作りたい気持ちが表れている。屋根のない博物館といわれている。2007年に石仏発掘され話題になった。2000年に南山全体がユネスコ世界文化遺産に指定された。(写真)

 

 何メートルもある大きな岩石に仏像が彫られている。足場の悪い坂道をその岩に沿って登ると岩山の後ろに素朴というのか、プロの職人の技ではない4体の石像が立っている。こうした素人の石仏の方が味がある、との感想も。山と、石と、木々と仏像が一体になっていて歩いていても飽きない。

 

 

東学は崔済愚(チェ・ジェウ)という優れた人物から生み出されたものだが思想とはすべていきなり成立するものではなく、多くの歴史的営みと地域文化を背景に時代の要請で花開くものだということが分かる。その背景の一がこうした古代に生まれた仏教であることが興味深い。

 

午後、大邱で交流集会

 

『慰安婦』資料館建設中のイーヨンスさんと再会

 

午後は金聖淳さんがバスに乗られガイドを務められた。彼は“ブドウ農夫“を自称する。55年も研究に研究を重ねてブドウを育てている。無農薬の濃い紫と薄い緑のブドウの房は芸術品であり味は何ともいえず美味である。波乱の人生を生き抜いて80歳代半ばの金さんだ矍鑠としていられるのは彼の農業によるものだと私は思う。「遠く日本からお金と時間をかけてきた」人々に精いっぱいのおもてなしをされる金さん。去年に続いてお元気な姿に再会した。

 

 

 

2014年10月13日 (月)

私が、文京区から転入を拒否された理由

Photo 19

(秋まで咲くマリーゴールド・春日部六軒町 写真右・台風19号近しの六義園・文京区)

 

 引っ越して区役所に転入手続きをしに行ったが拒否されたら!誰しも途方に暮れるのではないだろうか。日本国憲法には「居住・移転の自由」が保障されているというのに。

 

 私は参議院議員時代に住んでいた東京都文京区のマンションが建替えの数年前から埼玉県春日部市に引っ越していた。今年6月に建替えが終わり夫はすぐ住民票を新住所に移した。私は中足骨の骨折で春日部市の病院にかかり、(入院は断られたので)老健施設に入所、その時点で未だリハビリに通っていた。マンションは完成とともに居住者が一斉に引っ越すので期限が切られているので荷物は移転した。その後かかりつけの病院の医者の「骨折の完治宣言」を待って10月初旬に春日部市から転出することにした。

 

文京区役所の転入手続きは短時間で完了するものと思っていたが、思いがけずクレームがついた。

 

「夫と妻、2人が世帯主のままでは同じ住所への住民登録は認められない。世帯主はどちらか一人にしてほしい」という。しかし、私たちは2002年から2人とも世帯主である。しかもこれを認めたのは他ならぬ文京区役所である。

(私が世帯主になった経緯は、著書『飛び立て女性達』P224~に書いた)

1日目、窓口女性との“不毛な”やり取り

区役所の窓口女性(以下「窓口」と略)

夫婦が同一の住所に住むならば世帯主は一人が原則だ。夫婦は扶養義務を負っている。妻も世帯主のままだと住民登録は受け付けられない。どうしても2人が世帯主のままで住民登録をしたいというなら、「夫も妻も自立した生活を送っている」との証明が必要だ。夫々、所得証明を提出してほしい。

吉川

転入するのになぜ所得証明書がいるのか。そもそも、春日部に引っ越す数年前に私は世帯主になった。その時は文京区は認めておいて、今度は認めないのはどういうわけか。所得証明書を見て所得が少ない人は世帯主として認めないと言う事か

 

窓口

そういうことだ

 

吉川

 

それは所得による差別ではないか。法令の根拠を示せ。

 

窓口

夫婦なのだから同一世帯になることは当然ではないか。それによって何か不都合があるのか。あなたが非世帯主になりたくないなら夫を非世帯主にすればいいではないか

 

吉川

本人の了解もなく私の一存で夫を非世帯主にできると思うのか。あなたと話しても無理だ。上司と代わってほしい。

(窓口女性は奥へ引っ込みしばらくして分厚い六法全書を持ってきて「根拠は民法752条だ」という)

 

吉川

民法の規定からいきなり「住民登録に際して、夫婦は同一世帯になれ、ならないなら所得証明を出せ」等と言う事にはならない。条例なり規則なりがあるはずだ。それを示してほしい。

 

窓口

(しばらく待たされた後、窓口女性は「東京都市町村戸籍住民基本台帳事務協議会」“ぎょうせい”から刊行している分厚い「事務手続き」の書を示した。同書P47に曰く

「ウ 同居している夫婦の世帯認定 同一の住所地で生活している夫婦については、民法第752条により夫婦間には扶養義務があることから、一般的には同一世帯と考えるが夫婦であっても、生計を別にしているという実態があれば世帯を分離することも可能である」

 

 この時点で1時間半近くも窓口女性とやり取りし、上司たる人物は何度要請しても顔を出さす、夕方4時半を回っており時間切れだ。件の女性は所得証明でなくとも年金支払いのコピーでもいいから持ってきてほしいと収入証明提出に固執する。私は転入手続きを拒否されたまま、この日は引き揚げた。

 

  第2日目、夫と共に文京区役所へ

 

(私はすっかり忘れていたが、夫も春日部に転居した時、一足先に春日部市民になっていた私の住所への転入を断られたのだ。やはり窓口担当ではらちが明かず、すぐに上司の係長の女性が事情を聴いた。彼女は県の見解や近隣自治体の例を調べるので23日ほしいといった。越谷市や、草加市では後日無理に同一世帯になることは求めていない事を知り、一筆書いてほしいという。1日で転入手続きは終わらなかったが、長々と窓口で押し問答をしなくてもよかった、経験を持つ。この経緯は「『慰安婦』問題とジェンダー平等ゼミナール・ブログ」に書いた。201274日「夫が春日部市への転入を断られた理由―ジェンダー平等に遠い、国の制度」)

 

 

私たちは前日の窓口女性に「あなたの上司(課長か係長)と話したい」といった。夫がいたせいか?!はじめから上司が対応した。夫が春日部市への転入時の自分の経験を話した。「生計を別にしているという実態」は自治体が独自に判断できることではあるが、窓口女性が徹底的に頑張ったことを見ると、所得証明を求めることが日常的に行われているのであろう。

 

ともかく窓口女性の上司に春日部の経験を説明し、所得証明ではなく、生計を別にしているとの一札(申出書)を書いて(ここは私が譲歩した)、転入手続きを完了した。この日は朝1番で行き、住民票発行は11時過ぎであった。

 

 

戦前の家族制度を引きずっている民法752条と、同居夫婦の世帯分離

 

2次大戦後、民法の家族法と相続法は大きく書き改められて劇的に代わった。しかし、日本国憲法制定に伴う国会の民法改正に関する議事録を読むと、家父長制維持の勢力から新しい民法に移行することに強い抵抗があったことが分かる。(その中心人物が安倍総理の祖父・岸信介氏であった)

 

その結果新しい民法にも家族制度を残す規定がいたるところに残されている。婚姻年齢、夫婦同姓の強制、女性の再婚禁止期間、相続財産(非嫡出子の相続差別はごく最近改められた)等々。私は現職国会議員のとき民法改正のために超党派野党女性議員と一緒に努力したが未だ実現していない。

 

 私は今回の転入を通じて民法752条について二点を感じた。

 

その一は「夫婦は一体」とする戦前の家族制度を引きずっている事、

 

これは、住民基本台帳法第6条の「市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して住民基本台帳を作成しなければならない」との規定にも反する。

 

その二は、収入証明を提出させて収入の極端に低い人を世帯主と認定しない。これは生活保護を簡単に受けさせず、扶養義務を家族(配偶者)に負わせようとする魂胆が見える。憲法25条の「全て国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障する」国の責務との整合性をどう考えているのか。

 

 

 

 

 

 

<資料>同居夫婦の世帯分離に関する取扱いについて総務省見解

 

○民法752条により夫婦間には協力扶助義務がある事から。同一住所地の夫婦など一般的には同一世帯として取り扱うべきであるが、現在の多様な就労形態により、夫婦間であっても生計を別にしている実態について市町村が居住の実態や収入状況を審査した上で認める場合、世帯を分離することも可能である

 

○その際、収入水準等の規定はない

 

○どのように「確認、審査」を行うかは、各市町村長の判断になる。総務省としてその実態は把握していない(アンダーラインは吉川)

 

総務省は従来、民法752条の夫婦間の協力扶助義務が定められている事を根拠に同一住所地の夫婦は同一世帯として取り扱う事としていたが、「生計を別にしている実態があれば世帯分離も可能である」と変更した(平成12324日の神奈川県企画部市町村課宛の電話回答)。しかしこの変更においても「原則は同一世帯であり、別世帯はあくまで例外的取り扱いである」「生計を別にしている実態を確認審査するため、源泉徴収票、課税証明書等疎明資料の提示を求めることは差支えない」としている。(「新版・地方自治問題解決事例集第1巻 行政編」(平成20.6.10 ぎょうせい)P217

 2014.10.10 参議院総務委員会調査室による) 

 

 

 

2014年10月 8日 (水)

言論の危機 デモクラシーの危機

 

総理が国会で「朝日新聞バッシング」

 

106日、「朝日新聞」の「慰安婦」問題の報道検証記事(8月5日,6日付)に関して、衆議院予算委員会で山田宏議員(次世代の党)がとんでもない質問を行い、安倍総理がまたまた、とんでもない答弁をした(岸田外相と、菅官房長官も)。

 

山田議員は、「…慰安婦の問題、特に河野談話に至るまで、最初に火をつけ、その火をあおり、そして国際的にいわれなき汚名をまき散らす原因を作ったと言っていい朝日新聞がやっと32年たって…嘘の報道を認めた。総理はどういう感想を持つか」と、河野談話や、国際的批判も全部朝日新聞が原因だと言わんばかりの驚くべき質問を行った。

 

安倍総理は、山田質問にたいして、「この朝日新聞の慰安婦問題に関する誤報により、多くの人が苦しみ、そして悲しみ、そしてまた怒りを覚えた」等とし、「日韓関係に大きな影響をあたえた」、「国際社会における日本の、日本人の名誉を著しく傷つけたことは事実である」と答弁した。日韓関係悪化の責任も、国連や欧米から批判されていることも全部「朝日新聞のせいだ」という驚くべき答弁をした。総理は「多くの人が苦しみ、悲しみ、怒りを覚えた」というが、「多くの人」とは誰なのか?それは安倍総理自身の事ではないか。語るに落ちるとはこの事だ。

 朝日新聞社長の国会招致を求める「次世代の党」議員

 

さらに総理は「この山田議員とのやり取りが朝日で報道されるかどうか。正確に報道せよ」と求めている。国会で個々の新聞を名指しで批判し、報道の内容にまで言及するという驚くべき答弁である。

過去の安倍総理(当時は官房副長官)は、NHK教育テレビの「慰安婦報道番組に介入し「改ざん」させている。首相から「朝日新聞」にクレームをつけた点で「2001年のETV特集番組改変事件と重なる」(週刊金曜日)。その反省を全くしていない事がこの答弁でわかる。

 

また、この質問の中で山田議員が朝日新聞社社長の国会招致を繰り返し強く求めている。権力(国会)が国会招致をちらつかせて圧力をかける事は報道の自由の危機であるといえよう。

 

 

 

<「朝日新聞バッシング」海外の目>

 

「次に、「週刊現代」(1011日号)が注目すべき記事を載せているので、以下に一部引用してご紹介する。同誌はこの記事の中で、欧米のクオリティ・ペーパー、有名評論家のコメントをいくつか引用している。(番号は吉川が付す)

 

 

 

日本人とは大違いだった 世界が見た「安倍政権」と「朝日新聞問題」

 

 テンプル大学ジャパン ジェフリーキングストン教授

 

「いま日本で起こっているのは報道問題というより政治問題。安倍首相と保守派が国家アイディンティティを再定義したいがために朝日に対して政治闘争を仕掛けているのです」、「…今の日本で、日本の威厳に泥を塗っているのは朝日新聞ではない。過去の日本軍の蛮行を否定したり矮小化しようとしている人々だと言う事を日本人は自覚すべきです」

 

 ニューヨークタイムズ・マーティンファクラー東京支局長も「朝日攻撃」に眉をひそめる一人だ。

 

「朝日新聞にかこつけて言いたい放題なのが安倍政権です。朝日の報道が嘘だったからと言って慰安婦問題自体が嘘だったことにはなりません。朝日を執拗に非難する安倍政権や右派の人々と世界の乖離を感じます

 

 

 

ヨーロッパでも安倍政権の右傾化に対する危惧が広がっている

 

 ドイツの高級紙『フランクフルター・アルゲマイネ』元東京特派員、バーバ

 

ラ・オードリッチ氏

 

「朝日新聞は、原発と戦争責任という非常に重要な二つの問題を提起したわけで方向性は誤っていなかった。…福島原発も戦争責任も、これまで日本政府が隠ぺいしてきたことで朝日はそれらの追及を行ってきたからです。安倍総理はそれを右翼的言動で封殺しようとしている。…安倍首相は『積極的平和主義』を唱えているがEUからみれば『積極的右翼主義』にしか見えません」

 

 米スタンフォード大学亜細亜太平洋研究センター・ダニエル・スナイダー副

 

所長

 

「今回のヒステリックな朝日たたきは日本における言論の自由の危機、デモクラシーの危機、歴史的事実の危機という『3つの危機』を露呈させました。今の日本で起こっているのは、ずばり『言論のテロリズム』です。そのうち安倍自民党の1党独裁国家になってしまう危険性を孕んでいます」

 

 フィガロ東京特派員レジス・アルノー氏も、朝日新聞を巡る今回の一連の騒

 

動に唖然としたという。

 

「今回の朝日たたきは政府によるメディアリンチですよ。これは大罪です。そのうちに『慰安婦を組織したのは朝日新聞だった』などと言い出すのではないでしょうか。それくらいバカげたことをやっているとおもいます」「安倍首相をはじめとする日本の右傾化した政治家たちは、「朝日新聞は国際社会における日本のイメージを損ねた」と声高に叫んでいますが事実は正反対です。仮に日本の全メディアが産経新聞のように報道してきたなら、今頃日本は国際社会において、世界のどの国からも相手にされなくなっていたでしょう」

 

最後に、「週刊大衆」誌はいう。

 

「…我々日本人が考えている以上に世界が日本を急速に見放しつつあると言う事だけは知っておいた方がいい」と。

 

 

 

 

2014年10月 3日 (金)

「朝日新聞バッシング}が向かう、危険な方向

新聞、週刊誌、月刊誌の“朝日バッシングは”は、安倍首相と思想を共有する

右翼メディアや右翼「言論人」の“朝日新聞バッシング”がエスカレートしてとどまるところを知らない。今まで「良識派」と私が思い込んでいた「有名人」までもが、こうした新聞、週刊誌、雑誌に次々登場して見当違いな「慰安婦」問題批判と”朝日バッシング”に加わっている。満州事変から日中戦争当時の日本もこうして作家や言論人が雪崩を打って、戦争協力のペンを執ったのかと恐ろしい思いがする。

 

こうした中、今朝(103日)の東京新聞が“朝日バッシング真相を読む” (「こちら特捜部」)という特集記事を掲げた。朝日新聞の「慰安婦」報道検証記事が出て以来、東京新聞も“朝日報道バッシング”に対してこれまでほとんど沈黙してきた。“リベラル”とみられるこの新聞が、2か月にして、この問題でようやく口を開いたことを歓迎したい。 

 

 

新たな戦前の序章?以下は記事の概略)

 

朝日新聞バッシングに血道を上げる雑誌には「売国」「反日」の大見出しがおどる。「週刊文春」(94日号)のメーン見出しは「朝日新聞『売国のDNA』」。朝日新聞が取り消し訂正した「吉田調書」や慰安婦報道にとどまらず、「サンゴ事件」など過去の朝日の誤報をもちだしながら「売国のDNAは脈々と受け継がれている」と指弾した。右派月刊誌は「反日」のレッテルを好む。「正論」11月号は「堕してなお反日、朝日新聞」。寄稿者らは朝日の一連の対応を「偽りの謝罪」「傲慢無恥」「国辱責任」と異口同音にこき下ろす。

 

 

もともと「売国」「国賊」は戦前・戦中の軍国主義に反対するものに投げつけられた言葉である。…右派系の有名人はツイッターでも物おじせず実名で「売国奴」批判を展開する。NHK経営委員で作家の百田尚樹氏は、920日に死去した土井たか子元社民党首を「拉致被害者の家族の情報を北朝鮮に流した経緯もある。まさしく売国奴だった」と攻撃した。

 

「売国」「反日」などの悪罵が看過できないのは物理的暴力につながってゆくからだ。まさに戦前・戦中は、「売国奴」「非国民」のレッテルを張られた活動家や文化人が官憲の拷問によって虐殺された。

 

  …いま「何故」と問われれば首相の存在を抜きには語れない。朝日バッシングの先頭に立っている右派勢力と首相は思想信条の多くを共有する。

 

最後に、…「日本は集団的自衛権の行使容認によって近いうちに戦争当事国になる。『売国』などの愛国心をあおるような表現の蔓延はそんな状況を国民がすんなり受け入れる下地つくり。こんな言葉に慣れて鈍感になってゆくことが恐ろしい」との、在日コリアン3世人材コンサルタント辛淑玉氏の言葉で結んでいる。 

 

汝らのうち、罪なき者のみ、その女を石を持て打て

 

朝日バッシングに血道を上げる週刊誌に対し苦言を呈し警告を発する記事がある。

その1「池上彰のそこからですか?!」(「週刊文春」9.25号)である。

 

聖書の言葉を引いて、盛んに朝日に「石を投げ」ているマスコミ各紙に苦言を呈し、警告を発している。以下に池上氏の文章の一部を引用する。

 

「あなたたちの中で罪を犯したことのないものがこの女に石を投げなさい」(新約聖書ヨハネ伝福音書より)。

 

この訂正・謝罪会見で、慰安婦報道の検証で謝罪しなかったことも謝罪。更に私の連載コラム掲載み合わせについても謝罪しました。…私が騒動の渦中に投げ込まれ…その渦中で想起したのが冒頭のものです。

 

「朝日新聞は私の連載原稿を掲載しない(朝日に言わせると「掲載見合わせ」)という判断をしました。これに対する各マスコミの非難は大変なものでした。非難は当然とはいえ、その新聞社はみんな『石を投げる』ことが出来るのでしょうか」

 

こう語る池上氏は自分の経験を語り、それを知らない若い記者に語りかけている。 

 

同氏が、かつてある新聞社の社内報(記事審査報)のコラムの中で、その新聞社の報道姿勢に注文(批判に近いもの)をつけた途端、担当者が私に会いに来て執筆中止を告げられた事、…後で新聞社内から「経営トップが池上の原稿を読んで激怒した」と聞いたこと等。

 

新聞社がどういう理由であれ、外部執筆者の連載を突然辞める手法に驚いた私は新聞業界全体の恥になると考えこの話を自分の中に封印してきました。

 

しかし、この歴史を知らない若い記者たちが朝日新聞を批判する記事を書いているのを見てここで敢えて書くことにした。その新聞社の記者たちは「石を投げる」ことはできないと思うのですが、と。

 

また同氏はされに重要な指摘をしている。 

 

こうした一連の批判記事の中には本誌(「週刊文春」)を筆頭に「売国」という文字まで登場しました。これには驚きました。『売国』とは日中戦争から太平洋戦争にかけて政府の方針に批判的な人物に対して使われた言葉。問答無用の言論封殺の一環です。少なくとも言論報道機関の一員としてこんな用語は使わないようにするのがせめてもの矜持ではないでしょうか。 

 

その2  半藤一利 (作家、元「文芸春秋」編集長。「週刊文春」10.9号)

 

ワッショイ ワッショイと戦争へと向かった ―破局前夜のような雰囲気を感じる

 

半藤氏は、朝日の謝罪方法について苦言を呈した後次のように述べている

 

「ただ、今の過度な朝日バッシングについては違和感を覚えます。週刊文春を筆頭に、読売、産経などあらゆるメディアが一つになってワッショイ、ワッショイと朝日批判を繰り広げている。私は昭和史を一番歪めたのは言論の自由がなくなったことにあると思っています。これが一番大事です。昭和6年の満洲事変から、日本の言論はひとつになってしまい、政府の肩車に乗ってワッショイ、ワッショイと戦争に向かってしまった。あの時の反省から言論は多様であればあるほど良いと思うのです。私のような爺が、集団的自衛権や秘密保護法に反対と堂々と声を出せることは大変ありがたいこと。こういう声が封じられるようになったら終わりです。今の朝日バッシングには破局前夜のような空気を感じますね。好ましくないと思っています。 

 

吉川コメント

 

85日、6日の朝日新聞の「慰安婦」報道に対する検証記事を発端として、「慰安婦」問題をなかった事にしたい歴史修正主義者や右翼マスコミがが、一斉に動き出し、国際社会の批判を無視して、「河野談話」見直し、強制連行否定の大キャンペーンを開始した。

 

それから2か月を経て、この問題は「慰安婦」にとどまらず政府に批判的なマスメディアの封殺にまで発展しそうな危険な様相を呈している。しかし、右翼マスコミは「売れればいい」の姿勢を改めて過激な言葉ではなく冷静な批判姿勢に立った報道を求めたい。

 

また、多くの普通のマスコミはこの際、右翼的な言葉で埋め尽くされている感がある雑誌、週刊誌、そして新聞の報道内容の現状を黙視してはならないと思う。一般の週刊誌、月刊誌も”朝日バッシング”に対し、どんどん発言してほしい。「慰安婦」問題報道についても積極的に伝えてほしい。また、朝日バッシングに潜む危険性や、報道の規制につながりかねない今の事態を深刻に受け止め積極的な論陣を張るべきだ。

 

なぜこうした事態になったのか。「慰安婦」問題に対してジャーナリズムの報道が弱かったため一般の国民は「慰安婦」問題の実態や、国際社会での日本批判に対する報道にほとんど接していない。特にNHKは2001年の安倍官房副長官(当時)の番組への「介入」で番組を改ざんして以来、「慰安婦」問題はタブーでまったく取り上げてこなかった。

教科書にも削除されたことで若者も歴史を知らないで来た。その結果、国民一般の中にはこうした歴史を無視した的外れな過激な報道を容認する素地がつくられてしまったと言えよう。

 

メディアにとってもこの一連の問題に関して黙秘を決め込むのは、戦争前夜をもたらしかねない。安倍首相のめざす戦前回帰社会に一役買う事は絶対にしない事がジャーナリズムの矜持でもあろう。(吉川)

 

 

 

2014年10月 1日 (水)

大学生の日韓交流報告が新鮮!第14回ゼミナール

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(司会の後藤、池内さん↑  右・会場風景)

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(講演する、関口先生、吉川・当会代表 ↑)             


                   

 9月28日(日)、第14回ゼミナールが渋谷区女性センターで開かれ、参加者は会場が満員の60名でした。テーマは「戦争責任―国際社会はどう向き合っていうか」です。初めに、この夏4泊の予定で韓国を訪問した日本の大学生二人が、韓国の大学生と交流し「ナヌムの家」を訪問した感想を述べました。

   大学生2人の報告

 

大学1年生の女子学生は韓国に行く前にWAM(女たちの戦争と平和資料館)に行き、慰安婦問題を初めて知って驚いた。日本はいい国と思ってきた。誰も慰安婦の事を教えてくれなかったことに怒りを感じた」と述べ、「韓国で慰安婦問題に取り組んでいる団体に所属する女子学生が『日本が好きだから慰安婦の事をやっている』と言ったことに感激した。両国にも極端なことを言う人はいる。その人を変えることはむつかしいが沈黙する人がたくさんいる。その人に働きかけることが大切だ。池内さん(「慰安婦」問題の活動をしている先輩)が、そのきっかけを作ってくれた」と報告しました。

 3年生の男子大学生は、「慰安婦はひどい事だと思う。責任を取ると言う事はどういうことなのか。国家か、国民か、自分か。戦争にどう向き合えばいいのか、もやもやしたものを抱えて韓国へ行った。韓国の学生も、自分も(戦争の)当事者ではない。韓国の学生は『社会は変えられるんだよね』と自然に思っている。自分の大学の学生からは出てこない言葉だ。日本の学生は厳しい。ブラック企業も待っている。でも韓国は状況は日本よりもっと悪いのに。

 どう責任をとればいいのか。謝っても仕方がない、と思う。我々若者は、どんな未来の社会を作ってゆくかについて責任を持っている」と。 この日のゼミナールに参加していた大学の教員から今の学生の認識についての質問も出ました。

 問題提起~関口、吉川両氏による~

 

次に、2012年に当会が行った、「『慰安婦の視点で巡るドイツポーランドの旅』で考えた日独の違い」について二人の講師が問題提起をした。まず、関口久志・京都教育大学教授が、「日本の性暴力<買春>と戦争」と題して、講演。「人間の性は本能ではなく文化」という興味深い分析、レイプ被害の状況について細かい統計で報告。また、性暴力と売買春はジェンダー不平等が温床」として大和時代までさかのぼって歴史的にも考察した。1945年8月18日、敗戦の3日後、米進駐軍のために「慰安所」を設置、米の禁止令により女性たちがパンパンとして街娼になったこと等公娼制について日本の家族制度にも踏み込んで解明した。

 吉川春子・当会代表は、旅行で学んだ点として、ドイツと日本の歴史に向き合う姿勢が決定的に異なっていることを報告した。かつて同盟国だったドイツの首都ベルリンの中心部にはナチスの残虐な行為を忘れまいと資料館やモニュメントが多数建設され、或は残されており、これと対照的に東京には、侵略の痕跡がないばかりか、侵略戦争を正しいと発信し続ける靖国神社が聳えている事等日本の戦争忘却の姿勢を強く批判した。また今行われている異常な「朝日新聞バッシング」は、「慰安婦」問題を消し去るためであり、メディアの報道の自由の危機である事についても言及した。

 講演の後、会場とのら活発な意見交流が行われ、最後に”「慰安婦」問題を消し去ろうとする「朝日バッシング」に抗議するアピール”が採択された。

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(左・フロアーから発言する関千枝子・靖国違憲訴訟原告団長、右・「朝日新聞バッシング」についてのアピールを読み上げる池内さん)

 

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