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2013年2月

2013年2月27日 (水)

強姦被害者に立ちはだかる三つの壁

 2月27日(水)

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 左小林美佳「性犯罪にあうということ」(朝日新聞出版) 右・雨にぬれる山茶花(吉川庭)

 

 強姦の「認知件数」は下がる一方で、2009年は1500件を下回った。1980年が2600件だった事と比べると激減である(総務省統計局ウエブサイト)。また、なぜ「発生件数」といわないのか。強姦罪は親告罪なので被害者が社会の目を恐れて泣き寝入りしている場合や、告訴しても取り下げる例が多いと想定され、実際に発生している犯罪件数とは齟齬があるからである。

 被害者がまず遭遇するのは家族にも言えない、言っても理解してもらえないということである。小林美佳さんは二四才の時に職場からの帰途2人の見知らぬ男に強姦された。一番理解してほしい両親とりわけ母親は娘より世間体を気にし、かえって兄や弟の方が理解を示す(「性犯罪にあうということ」初判2008.4.30)。辛かっただろうね、と母親が抱きしめてくれる事はなかった。社会の無理解は推して知るべしである。

 第2の壁は刑法の規定である。強姦は親告罪なので被害者が告訴しないと加害者は起訴されない。被害女性は社会の目を恐れ泣き寝入りする人も多い。性犯罪被害女性に対して、落ち度があったかのような目をむける。それを恐れる。それは戦前の家父長制の下、女性にのみ貞操が厳しく求められた名残である。こうして被害者は告訴をためらう。強姦犯人は訴えられない事を良い事に犯罪をくりかえす。 

 しかも財産罪の強盗よりも強姦の方が法定刑が軽い。明治43年に制定された現行刑法は女性の人権は眼中になかった。そして強姦罪は虚偽告訴罪と賭博罪にはさまれ社会法益に位置する(私も強姦罪が社会法益だという事に最近気が付いた)。殺人、暴行などの個人法益ではない場所に位置するのは不自然である。刑法の「哲学」(明治の感覚)を感じさせられる刑法罰条の配置である。

第3は、裁判所に人権感覚の希薄な点である。裁判になっても裁判官が強姦の構成要件である「暴行脅迫」について、死に物狂いで抵抗しないと、加害者との合意を認定され無罪とされてしまう。枚挙にいとまがないが一例をあげると次のような判例がある。

 彼女が「やめて、という以上の抵抗」をせず「大声を出して近隣に助けを求めたり」「逃げ出そうとした形跡もない」ことなどから男の行為は「原告の抵抗を著しく困難にする程の暴行・脅迫を加えてなされた」とは認められない、つまり「強姦」ではないとし訴えを退けた(1995年)。裁判官は女性だった!(この項・立教大学非常勤講師・皆川満寿美「ジェンダーと現代」講義資料より)

 小林美佳さんも語っているが、殺害されるのではという恐怖、自分に対する無力感等々に苛まれる。強姦被害者が何時でも全力で抵抗して逃げようとはできない状態に陥ることを裁判官は知るべきである。

 社会の意識は早急に変えられないが、法改正で政府・国会は親告罪の廃止を行うべきである。また、国連からも勧告されているが裁判官等法律の執行に当たる者に対して徹底的な人権感覚を身につける教育を行う必要がある。女性が安心して暮らせる社会にしなくてはならない。(了)

2013年2月19日 (火)

「建国記念日」反対集会で「慰安婦」問題を講演

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2月11日(月曜日)

 さいたま市で2.11埼玉県民集会・講演会が行われ吉川元参議員議員が「 『慰安婦』、憲法、原発―歴史健忘症の日本からの脱却を!」と題して講演しました。会場となった教育会館大会議室は195人の参加者で満員になり資料も足りなくなって、「慰安婦」問題への関心の強さがうかがわれました。

 戦前の祝祭日の「紀元節」が「建国記念の日」として祝日に復活したのは1967年からです。この日は神武天皇即位の日とされていますが歴史上の根拠はありません。アジア太平洋戦争遂行のために偏狭なる忠君愛国思想として利用された「紀元節」の復活に向けて1950年代初頭から自民党衆議院議員らの議員立法として法案が提出されてきました。これは歴史を偽造する間違った意識を国民に植え付けるものです。

 2月11日は、今年も全国各地で反対の集会が行われました。埼玉では歴史の偽造を許さないという意味では重なる「慰安婦」問題についての講演が開かれたわけです。まず、埼玉歴史教育者協議会の小堀俊夫先生が、現在の中学校で「慰安婦」問題を授業で取り上げている教育実践と、それに対する生徒たちの反応が紹介されました。「慰安婦」問題の授業を中学生もきちんと受け止めていという感想も紹介されました。

 吉川元参議院議員は世界中から「慰安婦」問題が批判されている背景には国連を中心に女性の人権思想が発展している事があると指摘、にもかかわらず謝罪も補償もしない日本。これはユダヤ人虐殺の反省等のドイツの「非ナチ化(反フアシズム)政策」が日本では取られなかった事、日本の民主主義に影を落としている実態、草の根から侵略戦争反省の日本国憲法を守る運動を強める必要性が強調されました。

 フロアーから「韓国もベトナム戦争当時に『慰安所』を作ったのか、各国で同じ事が行われているとネットに書いてあるが如何」、「インドネシアにも慰安婦がいた事を初めて知った。日本はこの国へどう対応しているか」等の質問が出ました。吉川氏はアウシュビッツにも強制売春施設があった事を紹介し戦争になると女性の性があちこちで犠牲にされる実態がある。他の国が行ったからと言って日本軍「慰安婦」について謝罪も補償もしない事は許されない。日本の場合は最も大規模・組織的で、被害女性の数も国籍も多い、と答えました。インドネシアへは調査に行った 。「イスラムの国で女性が日本軍慰安婦にされた苦悩をインドネシア政府も国民も今も背負っている」と政府の幹部が語った事を紹介しました。そしてアジア、オランダの反日感情はとても強い事を感じたと答えました。

 終了後はJR浦和駅まで「憲法を守ろう」などのシュプレヒコールでパレードが行われました。

2013年2月10日 (日)

非ナチ化テーマの舞台「テイキングサイド」の迫力

 2月6日(水)、関東地方に大雪の気象予報の出ている中、天王洲アイル(羽

田モノレール線)の銀河劇場で「テイキングサイドーヒトラーに翻弄された指揮

者が裁かれる日ー」を見た。平幹二郎ふんするベルリンフィルの指揮者フルトベ

ングラ―が、ヒトラーに協力した疑いで、勝者・連合軍の米国少佐(筧利夫)の非

ナチ化審査を受けるという設定。

 

 かの若きカラヤンに嫉妬心を抱くベルリンフィルの指揮者フルトヴェングラー 

が、軍人になる前は保険金支払いの査定人という一介のサラリーマンであった

面接官の尋問を受ける。ベルリンフィルについてもさして尊敬を払わない、音楽

の造詣も深くない外国の軍人から「お友達ヒトラー」との関係について問いただ

される老芸術家の苦痛と屈辱が伝わってくる。

 

 ドイツは戦後は社会的地位の高かった者も労働者も区別なくナチスの協力者

を公職追放、戦争犯罪人を訴追して裁判にかけ処罰した。カラヤンや、ワルト

ハイム(国連事務総長、オーストリー大統領)等疑われながらも追及を免れ墓場

まで秘密を持っていった人物もいたが、アイヒマンのようにたとえ南米まで逃げ

て何十年も潜伏しても見つかれば処罰された(イスラエル当局に逮捕され裁判

で死刑宣告、処刑)。

 「ナチスの子どもたち お父さん戦争の時何していたの」(二期出版)では父親

がナチス協力者であったことが分かって親子の信頼関係が崩れ、家庭崩壊を招

いた例も少なくない事がわかる。「お父さん戦争の時に中国大陸で何をしてきた

の?」という問いを日本の子ども達が発したか、それは知らない。

 日本はドイツと違って国家としては自国の戦争犯罪人を裁かなかった。ヨーロ

ッパにおけるドイツ、アジアにおける日本の地位は戦争責任の取り方と相関関

係にあり、今日の両国の国際的地位の違いでもある、とは考えられないか。

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