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2017年4月23日 (日)

公文書館が内閣官房へ、慰安婦「連行」文書など19件182点提出

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(東京都文京区グリーンコートの八重桜は今満開) 

 

417日、国立公文書館が日本軍「慰安婦」関連資料19182点を内閣官房に移管したと報じられた。

安倍内閣は衆議院議員の文書質問に答えて「政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」(2007316日)としているので、今回の公文書館の資料移管によって政府が嘘をついていることを明確に示すものとして注目を集めた。

 

軍隊の享楽に供した…売淫行為を強制された…

 

今回の資料とは、A級裁判(先の大戦で日本を破滅に導いた総理大臣とか軍の大将や幹部等の指導的軍人・政治家を東京で裁判にかけた)の「A級国際軍事裁判記録」には、以下のような女性への性暴力に関する記述が何点もある。

「モア島原住民殺戮、女性への強制売淫」、「中央ジャワ島」、「ポルトガル領チモール」等において、単数または複数の軍人により「軍隊の淫楽の供した」、「原住民婦人の強制売淫」、「娼家(「慰安所」吉川注)」、「婦女子に売淫行為を強制された」との戦争犯罪の記述がある

 

またBC級裁判(戦場で実際に残虐行為を行った戦争犯罪人を裁く裁判。夫々連合国が単独で日本の将兵を裁判で裁いた)判決等では、次のように記されている

例えば、「被告は婦人等に買淫を強制するため慰安所として知られている建物に閉じ込めた」、「被告は慰安所に於いて強制買淫させる目的で婦女子を誘拐した」、「被告は前記軍人及び市民に十分な監督を行うことを怠り、怠慢の結果、婦人を慰安所に宿泊させて買淫を強制した」の記述がある。

 

これらは裁判記録は公文書である。安倍内閣の「強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」と、「慰安婦」の強制連行を否定する文書回答は全く事実に反することが明らかである。

 

この期に及んでなお

 

この文書移管に対して内閣官房副長官補室の鳥井陽一参事官は「個別の資料の評価はしていない。全体として見ると、強制連行を直接示すような記述は見当たらない」と話した、という(2017.4.17東京新聞夕刊)。「個々に見ると強制連行はあるが全体としてはない」というようにも取れる詭弁の、意味不明なコメントではないか。

 

2007326日、私は参議院予算委員会で強制連行について安倍総理を追及した。「強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」と文書質問に答弁した10日後である。ドイツ在住のジャーナリスト梶村太一郎著『「慰安婦」強制連行』にオランダ軍法会議資料に基づく詳しい解説書があり、それを読む気さえあればこんな答弁はできるはずもない。

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(梶村太一郎著『「慰安婦」強制連行』2008年6月・今回移管のバタビア臨時軍法会議資料を詳述する)

議事録を紹介する。

 

 

  ~~~~~~~参議院予算委員会議事録から 2007.3.26 ~~~~~~

 

吉川春子君 「強制収容所にオランダ人を収容し、その中から若い女性だけを選んで拉致して慰安所に連れて行った。…これは強制性に当たらないんですか。総理大臣」 

内閣総理大臣(安倍晋三君)このオランダ人の女性も含めてこの官房長官談話は出されているわけであります。ちなみに、軍がその事実を知って、直ちに慰安所を閉鎖したと、こういう事実関係があるわけであります。

 吉川春子君 軍が関与し、強制されて慰安婦にされたんですね

 内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、つまりその事実を知って軍がその慰安所を閉鎖をしたと、こういう事実関係がございます。

   (中略)

 吉川春子君 甘言であれ、強制連行、拉致であれ、慰安所は日本軍管理の下、逃げられず、慰安婦とされた女性達は毎日レイプされたんです。ワシントンポストによれば、身の毛 がよだつような体験の証言をしたと、こう言っているんです。(*米議会での被害者3人(オランダの「慰安婦」含めて)の女性の証言)。これをもって強制性はなかったと強制性はなかったとそれでも総理はおっしゃるのですか。そのことを端的にあなたの考えを言ってください。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)すでに私の考えは申し上げているとおりでありまして、河野官房長官談話で述べられている通りでございまして、この考え方を継承してゆくという事でございます。

吉川春子君 兵士による拉致、連行も河野官房長官談話の中に含まれているという事でいいですね。

(中略)

 

 吉川春子君 …オランダの事案も挙げました。どうですか      

内閣総理大臣(安倍晋三君)オランダの事案につきましては河野官房長官談話で述べられたとおりであります。

 吉川春子君 オランダの事案は、日本軍による拉致、連行によって慰安婦にさせられた事案です。それを安倍総理はお認めになったという事ですが、安倍総理、慰安婦の被害者の女性達が今何を一番望んでいるとあなたはお考えですか。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)…常々申し上げておりますように慰安婦の方々が辛酸をなめられたわけでありご同情申し上げますしそういう状況に置かれた事につきましてはお詫びを申し上げている通りであります。

 吉川春子君 今日までまだPTSDで苦しんでいるんですよ。日本政府に公式に謝ってほしいと思っているんですよ。総理、公式に謝る必要があるとは思いませんか。 内閣総理大臣(安倍晋三君)今、私はここでおわびを申し上げているわけでありますし、河野官防長官談話で申し上げている通りであります。(この後私は「河野官長官談話」の閣議決定を要求したが総理は拒否、また慰安婦一人一人に直接謝罪を求めたが、予算委員長は「吉川君の質問時間は終わった」と総理を指名しなかった)~~~~~~  引用終わり  ~~~~~

 

今後の活動について

 

 この議事録からも安倍内閣の強制連行否定論は、当時から破たんしていたことは明らかだが、法務省の公文書が、国立公文書館から内閣官房に移管された事で、国民は改めて強制連行の証拠に目を触れることになる。

 

 (よく知られている物もあるのだが)今回移管された文書の一つ一つの公開を政府に請求して、国民に宣伝して、「強制連行を示す記述は見当たらない」とは言えない事実を国会質問や、草の根の運動で追い詰めてゆかなくてはならないと思う。

 森友疑惑や多数の議員&大臣の不祥事。大臣や、議員の資格もないにもかかわらず見過ごされ、それでも安倍内閣の支持率は高い。それをいいことにますます危険な方向へ日本を引っ張って行きかねない。

 

「慰安婦」問題にきちんと決着を付けさせることが戦争を回避し、女性の人権を守る道であると確信をもって。(吉川記)

2017年4月11日 (火)

日本軍「慰安婦」博物館会議に思う

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(釜山の「民族の歴史資料館」と下関判決について語る、写真下・各国から来た報告者たち)

 

201741日(土)、東京水道橋の在日韓国YMCA地下ホール・スペースで第1回日本軍「慰安婦」博物館会議が開かれた。博物館に関するシンポジュームはこれまでも開かれているが、「慰安婦」問題に特化した会議は初めてで、“第1回”と銘打っていることからも分かる。「慰安婦」当事者たちがこの世から徐々に姿を消して、証言を聞く機会は皆無になっても歴史を語り継ぐ博物館の役割は、さらに重大になる事だろう。

 

参加し報告したのは、①ナヌムの家 日本軍「慰安婦」資料館、②釜山の「民族と歴史資料館」、アクティブミュジアム「女たちの戦争と平和資料館」(文書報告)、➃南京利済港慰安所旧址陳列館、➄中国「慰安所」歴史博物館、⑥ヒウム日本軍「慰安所」歴史館、⑦台湾の「阿藦(アマ)の家平和と女性人権館」等である。

 

 「慰安婦」へ謝罪と補償を求める運動から生まれる

 

韓国で、中国で、台湾で、フィリッピンで、東チモールで性奴隷とされた女性達が名乗りを上げ責任と補償を求める運動の中で「慰安婦」博物館は生まれた。国など行政がその権威を誇り、あるいは自己の正当化のために建立された博物館とは一味違う。日本政府が認めたがらない旧日本軍の戦争犯罪、残酷に女性の人権、尊厳を踏みにじった事実を被害者の勇気ある告発を写真などでリアルに展示する。規模に於いては小さくともドイツの如くナチスの犯罪を後世に伝えるための資料館(国立)に目的は似ている。

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(台湾「アマの家」建設について報告する人々)

 

 

 韓国の女性運動に脱帽

 

私は数回「ナヌムの家」の博物館に行った。リラ・ピリピーナのロラの家も行っている。また、「ヒウム歴史館」は、東学農民党のフィールドワークで大邱の街を歩いている時に建築中のこの「慰安婦」博物館の前を通り、翌年もう一度大邱に行き主催者にささやかなカンパを一行の気持ちとしてお渡しした。20151月に美しい日本家屋の町屋を改築して立派な建物が完成したとの報道をうれしく思った。

 

また釜山にある「日本軍『慰安婦』ハルモニたちのための民族と歴史館」の運動は、山口地裁下関支部判決として数ある「慰安婦」裁判で唯一勝利判決を勝ち取った。この判決に強く背中を押され私は「慰安婦」問題解決の立法の決意をして、他の野党とも連携して参議院に法案を提出した。もう韓国に行くことはない、と考えていたがとつとつと女性の語る釜山の博物館の運動を聞いてこの博物館には是非行ってみたいと思う。

 

こうした地道な博物館建立に取り組み成果を上げてきた韓国の女性運動に脱帽する。

今回も日本女性の運動への反省を迫られた会議だった。また抗して運動をしてきた韓国の被害者、女性達は、日韓合意の日本政府の中途半端な「反省」を到底許せないだろうとも考えた。

 

    日本女性の苦しみの歴史を掘り起こす運動を

 

この会議を主催したアクティブミュジアム「女たちの戦争と平和資料館」が日本においては唯一の「慰安婦」博物館である。松井やよりさんの遺産で10年は財政的にフォローできるがその後はむつかしい、と当初聞いていた。この博物館が末永く続いてほしいと願うのは私一人ではないと思う。私は「慰安婦」運動に携わってからNGOの運営する資料館、博物館へも補助金制度が必要と痛感しているが、今や立法府に居ない我身にとってなす術はない。

宗教法人への多額の国費が投入されている靖国神社の遊就館、税金で運営されている超豪華な建物の昭和館は、歴史認識と加害責任展示なしの重大な欠陥がある。強い矛盾を感じる。

自治体運営の博物館・資料館をウオッチして加害の歴史をきちんと展示させる事、できれば民間の力で地域にミニ博物館建立の運動を具体化できたらいいと思う。(吉川春子記)

 

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(アメリカに何故少女像を建てるのか、報告する在米韓国の女性)

 

2017年4月 9日 (日)

第5回「慰安婦」問題とジェンダー平等ゼミナール総会開く

 

当ゼミナール第5回総会が2017年4月2日(日)3時より東京都文京区民センター2階会議室で行われた。

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(六義園の枝垂桜はまだ5分咲き、2017年3月31日撮影)

   活動方針の承認

20151228日の日韓合意を経て日本の「慰安婦」問題に関する運動が一部混乱・停滞とも取れる局面の中、運動方針案は当ゼミナールとしては異例の1月の合宿を行って詳しく議論した結果、決められた(当ゼミナール第27号・2017年2月20日付に掲載)。総会でこれを報告し討論の結果、承認された。主な内容は「朝鮮半島のみならず、すべての国の『慰安婦』を視野に問題の解決を目指す」「『河野官房長官談話』の実施を政府に求めてゆく」「他団体との共同行動を行う」「会員の力を結集して地域でミニ集会を行う」「日本人『慰安婦』の調査を引き続き行う」というものである。

  財政報告と、規約改正

財政報告は財政担当原氏より、➀2016年度より会議参加の若干の補助金支給を開始した、➁2017年度の会員数はくしくも2016年度当初と同数である。2016年度は大口カンパのあったおかげで黒字を維持しているが、毎年、会費未払い、死去、転居先不明で一定の会員数の減が見込まれるので会員拡大は喫緊の課題であるとの報告があった。会計監事の池田氏からは「領収書等段ボール1杯膨大な資料を点検したが実に几帳面に正確に処理されている」との監査報告があり、財政報告は総会で承認された。

 

規約改正は大森副代表が行い、事務局会議とスタッフ会議を会編・廃止し、月1回定例化される常任運営委員会が当面の活動を執行すること等の内容を承認した。

 

 役員氏名をブログに掲載しない理由

役員選考の結果、運営委員22名(新人9名)、その中、常任運営委員11名(新人1名)、監事2名(新人1名)が選出された。氏名はニュース第28号(520日発行)に掲載する。米映画『スノーデン』に見るように権力はあらゆる個人情報を集め、監視社会が進行している。国会では共謀罪の審議が始まっている。日本は国民の抵抗力の点からは米国以上に危険の状態にあるともいえる。インターネットに個人名は極力掲載しない事とする。

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(パワーポイントを使って講演する馬先生)

 

 馬暁華先生の記念講演

~中国、アメリカ、日本の博物館比較

総会に先立ち13時から、馬暁華・大阪教育大学准教授による記念講演が行われた。テーマは「博物館の中の戦争 被害と加害を後世にどう引き継ぐか」である。ゼミナールのテーマとして博物館を選んだのは初めてである。理由の1は、「慰安婦」とされた女性達が高齢化し或は亡くなり直接被害者の証言を聞く機会は少なくなるだろう。彼女たちの体験をどう後世に伝えるか、教科書で子どもたちに教える事とともに社会教育の場として博物館の役割は大きくなる、との思がある。その2は、立教大学で数年前、博物館についてのシンポジュームがあり馬暁華先生が、中国、アメリカ、日本の博物館に足を運び綿密に比較調査している内容に非常に学んだからである。

 

 日中関係の蜜月時代、博物館はなかった

 ~戦争責任は日本の軍国主義者、国民に罪はない

馬先生は戦中、戦後の日中関係、共産党政権樹立等の歴史をたどりながら、その中に博物館を位置づける。1973年の平頂山殉難同胞記念碑が建立されたが、中国には1980年代以前には博物館はなかった。1980年代は博物館に於いて共産党政権の正当性を主張し、1990年代以降は大国主義教育の場として博物館を利用してきたと指摘する。

 

1970年~80年、中国政府は日本に対する戦争賠償の放棄を行った。戦争責任があるのは日本の一部の軍国主義者の指導者であると中国国民を教育した。

 

しかし、教科書問題を契機に日中関係の再編が起こり、抗日戦争に関わった戦争体験者の生きている時代に、1985815日、日本軍南京大虐殺「避難同胞博物館」が建てられた。731部隊、「万人坑遺跡」を残す等中国人民の受難の歴史が語られた。

 

馬先生の語ることを日本人は知っているのか?

即ち「撫順戦犯管理記念館」(1986年)にみられるように、中国は寛大な対日政策を強調し戦後の日中関係と和解への模索が行われた。日本人はサンフランシスコ条約は寛大だと受け止めているが、BC級裁判で中国は死刑ゼロ、懲役刑もゼロで、連合国のどの裁判より寛大であった(一番被害を受けているのに―吉川注)。」

 

中国の戦争観変容の引き金は「教科書問題」

 ~加害意識なき日本人、戦争なき戦争博物館

しかし1990年代以降中国の戦争観の変容があった。1997918日の歴史博物館には「国辱」という文字があるという。そして、今日の日中関係、両国人民の意識は私が触れるまでもないだろう。

また、馬先生は「日本人の戦争の記憶には被害のみしかなく加害はない」と指摘する。

典型は靖国神社の遊就館とその向かいにある昭和館であろう。遊就館については触れたくもない程ひどい「歴史博物館」(これは「博物館」と呼ぶにふさわしくない)である。

また「昭和館」は税金で運営されている政府機関である。馬先生は「戦争なき戦争博物館」と痛烈に指摘する。「戦争中の国民の苦労だけを扱っている」と。中国人から見た日本の博物館について厳しい目が光る。

  冷戦終結と国際情勢の激変が戦争展示にも影響

 ソ連崩壊後、「慰安婦」問題で歴史問題が再燃した。戦争責任論、戦争加害が問題となる。

馬先生は、「ピース大阪」、「立命館大学国際平和ミュージアム」 、「女たちの戦争と平和記念館」「岡まさはる記念長崎平和資料館」等について語る。

他方日本と中国の国民感情悪化し、中国で反日デモが起きる。かつての戦争について、日本は消してゆき、中国は強調してゆくというその典型が南京大虐殺であると指摘、日中における戦争観の相克を指摘、その結果ギャップの拡大になる。

  戦争をどのように展示するか。加害と被害をどう展示するか、被害を見るか、加害を見るかと問いかける。

 

以上、私の感想を交えて紹介したが、講演内容はニュース第28号でテープ起こしして掲載する予定である。

そして当ゼミナールは10月に行う中国の南京、上海のフィールドワークで引き続きこの問題を考えることとなる(吉川春子記)

2017年3月27日 (月)

新婦人の埼玉県三郷支部学習会

    地元中の地元で

 

 冷たい雨の日曜日、3月26日(日)、三郷民主商工会の2階会議室で10時~12時、新婦人三郷支部大会が開かれました。続いて午後1時より3時まで学習会が行われ、吉川春子当ゼミナール代表・元参議院議員が講演しました。

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(写真・三郷市部学習会で質問に答える吉川)

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(会場風景)

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(写真・新婦人の方がつくった素敵な布の花)

 

 

埼玉県三郷市は吉川が八潮市で市議会議員に当選し政治家としてのデビューしたその隣町です。選挙の度に大勢の方が応援に駆け付けて下さった町です。それだけに古くからの支持者や、当時吉川春子候補者カーにアナウンサーとして乗った文教女子大の元学生等が参加し、和気あいあいの雰囲気でした。参加者は40人でした。

 

 「慰安婦」問題の学習会は初めてとあって、キムハクスンさん(韓国人)、ソンシンドさん(在日朝鮮人)、城田すず子さん(日本人)の3人の元「慰安婦」の過酷な体験を話し、日本兵が1日に10人も、時には50人もの相手を強制された事等の話には驚きの喚声が何度も上がりました。

講演を何回もしている私は「慰安婦」の過酷な体験についても繰り返し同じ話をしているように思うこともありますが、まだまだ知られていないという事を実感しました。もっともっと多くの人々に歴史的事実を語る必要を感じました。

 

  多方面の問題について質問に答えて

 

 講演はパワーポイントを用いて90分行い、残り30分の質問の時間には4人の方が挙手をしました。私が女性の経済的自立についてもお話ししましたので労基法の質問も出ました。

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(写真・三郷支部の新婦人幹部の皆さんと)

 

 

➀『慰安婦』は売春婦と同じと思っている人が多い。また、戦争の時はそうした女性への暴力が起きても仕方がないという男性が多い

 

②(最近話題になった労基法の繁忙期の残業時間の上限に関し)100時間も働かせないと企業はやってゆけないのか。逆に非正規の労働者は仕事を2つも3つも掛け持ちで働いている現状である。

 

➂安倍総理の女性観について。国会で奥さんの事を追及されるとかっとする。「証人喚問させない」と言っている。また、子どもがいないので戦争に行かせなくて済むと考えて戦争法を通しているのか。またなぜあんなに安倍総理は元気がいいのか?

 

➃子どもを産んでいっぱい増やせ、2人、3人目は保育料を安くすると言って、女性を引きずり込もうとしている。腹が立って仕方がない・・・

 

 なかなか私の力に余る質問も出ました。売春婦なら「慰安婦」にしていいのか?そもそも遊郭に売られた少女も性奴隷であった事等「慰安婦」問題だけではなく、正規、非正規労働者等の雇用労働問題、リプロダクティブヘルスライツ、保育の規制緩和、小選挙区制の結果で自民党が多数議席を占める現国会、選挙制度を変える必要のsる事等々の問題にお答えしました。(吉川春子記)

 

 

2017年3月23日 (木)

映画「スノーデン」と共謀罪

 

 

 監視カメラの危険性に鈍感?の日本~我がマンションも例外ではなく…

 私の住む築40数年のマンションはほぼ10年間の話し合いを経て全員一致で建て替えを承認、3年前に完成し快適な居住環境にはなった。しかしいい事ばかりではない。新築なったマンションの入口3か所には夫々監視カメラが仕掛けられ常時住人を監視するようになった。

「何のために監視カメラが必要なのか?」。マンションに入るには2回のチェックポイントがあり住人といえども鍵をかざして入らねばならない。不審人物が入る余地はほとんどない。私は途中、何回かの総会で、或は理事長である夫を通じて「監視カメラ設置に反対」の意見を述べたが受け入れられなかった。

ではこのカメラは誰をチェックしているのか?居住者の行動を24時間監視するためのものと言わざるを得ない。費用は住民の自己負担である。情報関連企業の収入のプラスにはなるだろうし警察は喜ぶかもしれないが。

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「日本には世界に類を見ない警察の監視カメラ網がある」と指摘するのはジャーナリストの小笠原みどり氏である。曰く、「国会議事堂の外周をぐるりと取り囲む43台のカメラは、議員面会所の前、デモ隊や個人が議員に請願書を渡していく場所も撮影している。国会は請願権、集会、表現の自由といった市民的自由が生き生きと行使され議員と市民の交流が民主主義の現場として確保されなければならない空間のはずだ。ここにも『抑止』が忍び込んでいる(小笠原みどり著「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」P2327写真上)。

無数にあるコンビニエンス・ストアにも歌舞伎町にも住宅街、商店街等のいたるところに仕掛けられている監視カメラ。これのネットワーク化を、警察は「研究中」だという。恐ろしい限りだ。

 

 史上最大の内部告発“スノーデン事件”

 2013年、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的な監視プログラムの存在をイギリスのガーディアン紙が報じた。それを暴露したのが元CIA((アメリカ中央情報局即ち米国のスパイ機関)職員の若者だったという事実にも驚愕したが、今回映画化された「スノーデン」(オリバー・ストーン監督、2016年アメリカ・ドイツ・フランス 35分、有楽町スバル座で上映中)を見て彼の勇気に心より感動した。同時に権力組織の恐ろしさに身のすくむ思いがした。私は映画の上映を「官邸筋から1週間で上映を打ち切るように圧力がかかっている」と聞き絶対見なくてはと有楽町のスバル座に行った。

 <ストーリー>(写真下・映画「スノーデン」のジャケット)

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 スノーデンは9.11同時多発テロに危機感を感じて国家の役に立ちたいと軍隊に志願兵として入る。しかし特殊部隊の訓練は想像を絶する過酷さで彼は大怪我をし長期に松葉杖の生活となる。担当医から「他の方法で国家に尽くせ」と除隊を宣告される。

 そこで彼が選んだ道は優秀な頭脳を生かせるCIAに入る事であった。9.11後つぎのテロとの戦いの主戦場はサイバー空間にあると捉えているCIA は通信網を自在に操れるスペシャリストを必要としていた。

スノーデンはCIA訓練センターでサイバーセキュリティのノウハウを学び、そこで類い稀なるコンビューターの知識を発揮して上司から一目置かれる存在になる。そこで彼は恐ろしい国家の管理体制の存在を知る。一方プライベートではワシントンンD.C.のカフェで権力に批判的なリベラル派の女性リンゼイ・ミルズと知り合い2人の交際が始まる。

ジュネーブのアメリカ国連代表部に派遣されたスノーデンはCIAのネットワークセキュリティの維持を任された。そして非公開のはずの一般市民のメール、チャット、SMSからあらゆる情報を収集し、当該者のパソコンで盗撮まで可能なNSA(ナサ・米国国家安全保障局)の極秘検索システムの存在と、それを利用してテロ活動と無関係の人物までスパイとして抱き込むCIAの汚い手口を知ることになる。

・・・・

スノーデンはかつて自分が構築したシステムがドローン攻撃など想定外の目的に使用されている事実を知りショックを受ける。アメリカ政府の監視プログラムが拡大の一途をたどり自分と、恋人リンゼイの私生活までもCIAに筒抜けになっていることを知り、祖国アメリカを告発するとの挙に出る。

    ロシアに亡命中のスノーデン

職場から重大な国家機密を持ち出して米国を脱出する若者に対して、政府発行のパスポートを無効にするという手段に出たオバマ政府。その結果、彼はロシアより先に進めなくなり、同政府に亡命を申し出て、3年間は留まる許可を得た。しかし今後、ロシア政府が米国政府へスノーデンを引き渡さない保証はなにもない、という。

元諜報部員なら「彼が米国に捕まれば裁判にかけられ諜報活動取締法違反で告発され、陪審員なしの非公開の裁判で、死刑だってありうる(「スノーデン」ジャケット・PRODUCTION NOTE)という恐ろしい運命が待っている。

元CIA職員であり、NSA(米国国家安全保障局)の職員であったエドワード・スノーデンは語る。

「僕は自分の行動によって、この人生が台無しになることをよくわかっています。けれど、僕の愛するこの世界を支配している秘密の法と不公平な免罪符そして抵抗出来ないほどの強力な行政権が一体となったものを一瞬でも世に明らかにできるなら、それで満足です。(自分の仕事や収入、安置して暮らし)すべてを手放すことに迷いはありません。なぜなら米国政府が秘密の中に構築した世界中の人々のプライバシー、インターネットの自由、そして基本的な人権を破壊するのを許せば良心が穏やかではいられないからです」と。

使命感に燃えて国家機密を持ち出した若者の前には想像を絶する困難な人生がある。

 

日本国民の個人情報を集めたがる政府と、共謀罪

日本には1945年の敗戦前までは治安維持法という稀代の悪法があって共産党だけでなく学者であれ、宗教であれ政府の都合悪いと見なされた思想は処罰されて内心の自由はなかった。捕まれば小林多喜二のように裁判を待たずに虐殺された者もいる。

その反省もあって戦後の大学で私は近代刑法の大原則は「犯罪は実行行為があって初めて処罰される」と法学部で学んだ。

321日閣議決定された「共謀罪」は3度廃案になりながら復活させようとしている。この法律は、行為でなくその前段階を処罰の対象にする。思想を処罰する戦前に逆戻りしかねない危険な法律である。

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しかも政府は他方で、国民の個人情報を集める国民総背番号制実現に向けて失敗しても何度でもチャレンジしてくる。私が参議院議員に在職中は「住基ネット」の実施に金と労力を惜しげもなくつぎ込んだ。

「住基カードを持てば住民票が簡単に取得できる」と宣伝したが住民基本台帳が人生の中で何回必要になるか。相続とか、引っ越しとか限られた時しかとらない。住基ネットは2002年当時、一時稼働したが数百億の巨費を投じたまま失敗に終わり、情報関連企業は潤ったが税金の無駄使いに終わった。

今、マイナンバーの登録(カードの作成)を呼びかけている。一昨年までは税の申告に不必要だったのに昨年からマイナンバーの記載を要求している。でも、カードは作らない

方がいい。 

(写真・町のカメラ屋さんに張り出された「マイナンバー申請用の顔写真撮影のおすすめ」)

免許証のない私はしばしば顔写真のついた身分証明書を要求されパスポートのコピーを持ってゆく。「マイナンバーカードは顔写真入りなので便利」とか誘惑される。

政府は公文書には秘密保護法をもうけて黒塗りのものしか出さず、一方国民の個人情報をひとまとめにネットワークにして掴もうと必死である。

 公文書は隠し、個人のプライバシーは侵害する政府に物申す

公文書の秘密扱い(は止めよ、国民の個人情報を掴むな!と私は叫びたい。

アメリカ政府だけが個人情報を大量に集めて権力の恣意的利用を行っているから危険、なのではない。日本政府も膨大な個人情報を集め、ことあれば共謀罪で国民を縛る可能性は大いにある。

こうした権力に立ち向かうスノーデンよ、日本でも出でよ!何よりも、国民よかしこく、政府の意図を見破ろう!(吉川春子)

 

2017年2月25日 (土)

「慰安婦」問題とジェンダー平等ゼミナールニュース第27号完成

当ゼミナールニュース第27号を昨日会員の皆さまに発送しました。メインのニュースは総会議案と記念講演です 。そのビラを以下に紹介します。
 
 

「慰安婦」問題とジェンダー平等ゼミナール主催

 

201742日(日)会場:東京文京区民センター会議室(2A)

 

 

 

 5回総会と記念講演のお知らせ

 

 

 

1部 記念講演 13001500

講師:馬暁華・大阪教育大学準教授(写真)

 

テーマ:博物館中の戦争 被害と加害を後世にどう引き継ぐか

 

 
 
 

 今年1月、ビジネスホテル大手のアパグループが南京大虐殺や「慰安婦」を否定する「歴史の本」(著者・ループの本谷外志雄会長)を各客室内に備え付けてあることが判明。冬季アジア札幌大会出場の韓国と中国の選手団はこのホテルをキャンセル。「日本の一部勢力が未だに歴史を直視しようとせずさらには否定し歴史をゆがめようとさえしていることがまたも示された」(中国外務省)と批判されてる。「慰安婦」問題や南京大虐殺などの歴史を次世代に引き継ぐために学校教育と共に社会教育の場・歴史博物館・資料館の役割は大きい。  

講師は中国と日本の戦争博物館・資料館を訪ね歩き「記憶の継承をめぐる中国と日本の戦争博物館比較」との論文がある。

 
 

 

 

 

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(右から2人目が講師の馬先生)

2部 総会 15151645

 

安倍総理は憲法改正を国民に呼びかけ、自衛隊PKO部隊に駆けつけ警護の任務を与え憲法9条を踏みにじっている。

 

韓国人「慰安婦」キム・ハクスンさんが名乗り出て、政府は「河野官房長官談話」で責任を認めた後も解決は見えない。今日、女性への暴力も多発している。

 

日本のNGOは何をすべきか、当ゼミナールは「運動方針案」を提起する。大いに議論を! 

 

 

 

資料代:700円(学割500円)をいただきます

 

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2017年2月16日 (木)

トランプ氏のフェイク(嘘)ニュースと、「慰安婦」問題

 

ファクト(真実)とフェイク(嘘)を見極められない?米国の人々

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今が盛りの東大付属・小石川植物園(東京都文京区)の梅

トランプ大統領が就任1か月でアメリカ社会と世界に混乱がまき起こっている。クリントン民主党候補が敗れトランプ共和党候補のまさか!の勝利はフェイク(嘘)ニュースが決定づけたと言われている。

「ローマ法王がトランプ氏を支持」(WTOS5ニュース)、「クリントン氏の流出メール担当のFBI捜査官が無理心中」(デンバー・ガーディアン)、がフエイスブックで大きく拡散された。

トランプ陣営は、「500万人の不法移民がヒラリーに投票した」とするフェイク・ニュースを発信。また、「大統領就任式に150万人集まった」と主張をするが、映像見でもはっきりわかる程、オバマの就任式に比べ格段に観衆は少ない。大統領就任式の観衆の数についてトランプ氏は「過少に報じた」とメディアを批判。しかし明らかな嘘もホワイトハウスの報道官は「もう一つの真実(オルタナティブ・ファクト)」と言って押し通した。

そのたびにメディアは「反証」してきたがこれに対してトランプ大統領自身がツイッターで「落ち目のフェイク・ニュース、ニューヨークタイムスは誰かが買収して正しく経営するか、尊厳を以って廃刊にすべきだ」などとメディア批判を展開している(SPAアプリ2017.2.10ニュース)。

あの池上彰さんは「権力者は…自分の都合のいいように解釈をちょっと変えるという事はこれまでやってきたが、トランプ政権は嘘を平然と言う。大統領就任式に集まった人の数がずっと少ないのを多いと言ってみたり、それを指摘されるとそれは『オルタナティブ・ファクト』、もう一つの事実だと言い張る。…トランプ大統領は『私に否定的な世論調査はすべてフェイクニュースだ』とツイートした」とあきれている。

 

 

  「THE FACTS(真実)」が、米下院の怒りを買った理由

 

これまで日本でもフェイク・ニュースが喧伝されるがその最たるものは「慰安婦」問題ではなかろうか。20076月、ワシントン・ポスト紙に日本の右翼国会議員や評論家たちが “THE FACTS(ザ・ファクト)”とする連名の意見広告は「慰安婦」問題について「フェイク(嘘)」を「真実(ファクト)」と偽った代表的な代物である。

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THE FACTS(抄)

Ⅰ「日本軍によって、女性が、その意思に反して、売春を強制されたことをはっきりと明示した歴史文書を発見した歴史家歴史学者や研究機関はまだない」。

Ⅱ「女性を強制的に慰安婦にした仲介業者が、当時日本の管轄下にあった現地警察に処罰された…、日本政府が女性に対する非人道的な犯罪にたいして厳正な対応をとった証拠を示す」

Ⅲ「しかしながら、規律違反の例があったことも確かである。例えば、オランダ領東インド(現在のインドネシア)、スマラン島では、一陸軍部隊がオランダ人若い女性の一団を強制的に拉致し「慰安所」で働かせていた。しかし、この事件が明らかになった時点で、この慰安所は軍の命令により閉鎖され、責任のある将校は処罰された。これらの戦争犯罪に関与した者はその後オランダ法廷で裁判にかけられ、死刑を含む重い判決を受けた」(吉川注・これは1と矛盾している)

Ⅳ「慰安婦の初期の供述では、旧日本軍や他の日本政府機関によって強制され働かされたとの言及はない。しかしながら、反日キャンペーン後、慰安婦の証言は劇的に変化したのである。下院公聴会で証言した慰安婦たちは、最初は業者に連れ去られたと証言していた・・・」

Ⅴ「日本軍に配属された慰安婦は…「性の奴隷」ではなかった。慰安婦は公娼制度の下で働いており、当時、公娼制度は世界中で当たり前であった。実際、慰安婦の多くが佐官どころか将軍よりも遥かに高い収入を得ており(中略)、 慰安婦の処遇は良好であったという事実の証言も多くある」

「旧日本軍が「20世紀最大の人身売買犯罪の一つ」として「若い女性を強制して性の奴隷にした」という罪を犯したとの申し立ては、真実に対する大幅かつ故意の歪曲である」(吉川「どっちが!?」)

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日本の右翼はこうした国際的に通用しない「慰安婦」問題の「フェイク(嘘)」の意見広告を「ザ・ファクト(真実)」と偽ってワシントン・ポストに掲載し、結果アメリカ下院は怒り、20077月28日,日本への「慰安婦」問題に対する非難決議を採択したことは記憶に新しい。

 

トランプ大統領顔負け!安倍総理のフェイク(嘘)・ニュース

 

2020年オリンピックを東京での開催決定!のブエノスアイレスのIOC総会で、安倍総理は福島第1原発をめぐる状況は「コントロールされている」と宣言した。ノルウエ―のIOC委員から福島第1原発の状況について聞かれた安倍総理は「結論からいうと全く問題ない。汚染水による影響は福島原発の港湾内の0.3キロメートルの範囲内で完全にブロックされてる」とのべた。

 

日本のメディアは総理のこの発言を厳しく批判した。「安倍首相は、滑らかな英語で東京への五輪招致演説をした。「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。……」英語では「アンダーコントロール」と言った。え? 立ち並ぶタンクのあちこちから汚染水が漏れてくる。地下水は山側から容赦なく流れ込み、それが汚染されて港湾に流れ出る事態も続く。汚染水はいま、「アウト・オブ・コントロール(制御不能)」じゃないですか。(朝日918日)」

 

「嘘(フェイク)」を平然と「もう一つの事実(オルタナティブ・ファクト)」と言ってはばからないトランプという人物が登場して世界を唖然とさせているが、アベさんも負けず劣らず「フェイク」を連発し、その先を行っているのではないか。

 

 アメリカ、日本、ヨーロッパ…フェイク・ニュースの受け止め方

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(小石川植物園の白梅)

トランプの支持者はニューヨークタイムス、ワシントン・ポスト、CNN,NBCなどトランプが嘘つき呼ばわりされているメディアのいう事は信じない、のだという(SPAアプリ2017.2.10ニュース)。

しかし、他方で、アメリカ国民はトランプ大統領に抗議デモを連日各地で仕掛け、裁判所は三権分立の国らしく司法の良識を示し、メディアも大統領に公然と質問し後へ引かなかったCNNの記者等、闘う姿が見える。日本より民主主義が根ついているように見える。こういうニュースは私を勇気付ける。

トランプ現象はヨーロッパに拡大するのか。ネオナチ等が勇気付くのか。トランプにいち早くお祝いに飛んで行った某国の指導者とは別に、ヨーロッパでは現段階ではイギリス以外の首脳はトランプ批判の姿勢を保っている。

 

  加害の事実を後世に引き継ぐために

 「フェイク」ニュースを巧みに発信する安倍内閣。それが奏功してか、支持率が異常に高いことに私は危機感を持つ。「ファクト」と「フェイク」を見極められないのはひとり、アメリカ国民だけではない。

怖れることは、「慰安婦」問題や南京大虐殺否定(「フェイク」)が後世に受け継がれ、歴史の真実(ファクト)が葬られる恐れなしとしない現状である。

 加害の歴史(事実)が後世に引き継がれるためには、指導者に対する鋭い鑑識眼を伴う国民の意識の成熟が必要である。NGOとしてしなければならない事は国民の鑑識眼を養うことにつながる活動ではないか、と思う。(吉川記)

2017年2月 8日 (水)

映画「未来を花束にして」

  夫と子どもを失った、「サフラジェット」(女性参政権獲得運動家)

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(写真中央・モード演じるキャリーマリガン、右はWSPU指導者・エメリン・バンクハーストを演じるメリル・ストリーブ~映画のジャケットから)

 

映画の原題は「サフラジェット」(監督・サラ・ガヴロン、主演キャリー・マリガン)=戦闘的な活動をする女性参政権運動家のことをいう。

舞台は1913年。日本で大逆事件(1910年)が起きた頃。イギリスでは19世紀後半に始まり50年続いた平和的な女性運動が実を結ばず、女性参政権獲得運動がついに1912年、過激な戦略「言葉より行動を」の運動に移行していった。

 

母であり妻であるモードは劣悪な労働環境の洗濯工場で働く労働者でもある。傍聴のつもりで下院(日本の衆議院)の公聴会に行くが、夫に殴られて傷だらけになった活動家に代わって、急きょ、証言することになってしまった。委員長の質問に彼女は答える。

 7歳でパートとして、12歳から社員です。17歳で班長、20歳で職場主任となって―今、24歳です。洗濯女は短命です。体が痛み、咳がひどく、指は曲がり、脚は潰瘍にヤケド、ガスで頭痛持ち」

 「賃金は?」―「週13シリングです。男は19シリングで、労働時間は(女性労働者より)3割短い。それに配達中心で外に行ける」

「あなたにとって選挙権とは?」―「ないと思っていたので意見もありま

せん」

「ではなぜ、ここに?」

―――「もしかしたら…他の生き方が…あるのではと…」

 

 たどたどしいが真剣なモードの証言は、公聴会の会場を埋めた男たち(男ばっかり!)のあいだに軽いどよめきが起こるほど感動的なものだった。 

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(写真・モードの一家。下院での証言に怒った夫(左)はモードを家から追い出し、息子を養子に出してしまう)

   女性達は過激な行動に移った

 モードは証言をしたことで夫に家から追い出され、子どもにも会えなくなる。子の親権も男性(父親)にのみ与えられていて母親にはないのだ。同じ職場の男女労働者からも非難され、工場主から解雇されてしまう。

公聴会まで開いたのに法案についての議会の結論は「女性に参政権を与える必要はない。法改正は拒否する」というものだった。

官憲の弾圧、「警察のスパイになれば罪に問わない」という誘惑等々…モードは困難な中で労働者として多くを学んだ。失うものが何もなくなった彼女は仲間と共にポストの郵便物や家屋への放火、商店の窓ガラスの大規模な破壊、美術館の絵を切り裂くなど「サフラジェット」(女性参政権獲得運動家)として過激な行動に参加する。

 

実在した「サフラジェット」の理論的リーダーである、富裕層のエメリン・パンクハースト夫人は、夫亡き後1903年マンチェスターで女性社会政治同盟(WSPU)を設立し、最盛期には2000名のメンバーがいたといわれる。自由党政府が女性参政権法の成立を様々な手段で妨害するたびに過激な行動を取り入れていった。この映画の主人公・モードのような労働者だけでなく、薬剤師、柔術講師など中流階級の女性達をもこの運動は取り込んでいった。

イギリスでは19世紀から穏健な女性参政権獲得運動団体も存在したが、過激な彼女たちの行動は世間の目を引き注目された(佐藤・麗澤大学准教授 「未来を花束にして」プログラム)。

この映画のクライマックスは、戦いを世界に知らせるためにダービー会場での国王への直訴の計画実行……時には命を賭しての闘いの結果、女性達は権利を獲得したのだ。

 

1918年、国民代表法で戸主または戸主の妻の女性達に参政権が与えられた

1925年 女性(母親)へも親権が付与された

1928年男女平等の普通選挙権が成立した

 

  映画の面白さ

当時の工場の機械、イギリスの街の風景、上流階級の集まるダービー会場の華々しい美しさ…等映像は懐かしく興味深い。

警察の弾圧、刑務所内で絶食して自死を図る囚人、それを阻止するため無理やりチューブを口に押し込んで食事を流し込むシーン等、洋の東西を問わない残酷な官憲の姿の場面もある。

他方、陰険で残酷・野蛮な戦前の日本の特高警察と比較して紳士的!?にさえ見える場面もあった。逮捕状を示しての逮捕、その場合名前を呼び捨てにしないで「○〇さん」と呼びかけるとか。中でもモードの証言に議員達が耳を傾ける公聴会のシーンは圧巻である。戦前の日本ではありえない立法システムである。

イギリスでも日本でも女性達の参政権獲得の厳しい運動があって、今日の普通選挙権があることを知る映画である。

 

    気になる事

映画の最後に、女性への参政権が与えられた国名と年号の文字が次々に流れる。

1983年ニュージーランド

1902年オーストラリア

1913年ノルウエ―

1917年ロシア

1918年オーストリア、ドイツ、ポーランド(もちろんイギリス)

1920年アメリカ合衆国

1932年ブラジル

1934年トルコ

1944年フランス

1945年イタリア

1949年中国、インド

……

2003年カタール

2015年サウジアラビア

このように、世界各国の国名と女性参政権獲得の年号とが次々出るが、日本は出てこない。この映画監督は日本の参政権獲得について無関心であったのか。理由は何なのか?そこが知りたい。(吉川記)

 

2017年1月 2日 (月)

新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

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(写真上・東京都文京区根津神社、新年の賑わい、写真下1月2日の六義園)

「『慰安婦』問題とジェンダー平等ゼミナール」は20106月にスタートしおかげさまで今年は7年目を迎えることができました。

これまで講演&シンポジュームは22回を数え、昨年11月には前年の「日韓政府合意」を受けて4氏による「日本のNGOは今何をなすべきか」をテーマにパネルディスカッションを行いました。内容は新婦人の『女性&運動』誌(20171月号)で特集を組んでいただきました。

 

またフィールドワークは昨年9月の「一味違う信州no

旅」がとても好評でした。「千葉県館山市の「噫 従軍慰安婦の碑」、「『慰安婦』の視点で巡るドイツ、ポーランドの旅」、同じく「沖縄の旅」と回を重ねて来年は中国の南京等を予定しています。

当ゼミナールは北海道から沖縄までほとんどの県に会員が総計660名余りおり、会費とカンパで活動が支えられています。会員の皆さまには当ゼミナールの活動や「女性の人権」にかかわる動きなどを載せて年4回の「ニュース」を発行し、郵送しています。ニュースはカラー刷りで26号に達しています。

新年にあたりまして、『慰安婦』問題に心を寄せる皆様にぜひご加入いただき、草の根運動を担っていただきますことをお願いします。

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(写真上・新婦人『女性&運動』、写真下、同誌の目次)

 

12日、NHKのEテレでミュージカル「狸御殿」(演出・宮本亜門)を見ました。初めの舞台回しの落語家のセリフで「日本のミュージカルの歴史は『狸御殿』に始まる。昭和14年当時の不安いっぱいの世相の中上演されて大ヒットした。今まさに当時と同じ時代背景にある」という趣旨が語られました。

昭和14年(1939年)と言えば日中戦争は始まり、2年後には太平洋戦争へ突入という緊迫した時代で、国民への言論統制が進み、また生活物資の不足も深刻化しつつあり、日本の破滅までにあと6年を切った時代です。ミュージカル上演の自由はまだ残されていたのでしょうか。今の日本に対して昭和14年当時と同じ兆候を芸術家の感性は捉えているのです。

 

確かに、増え続ける軍事費と憲法を一層踏み越える自衛隊のPKO活動、防衛大臣の靖国神社参拝、マスメディアに対する政府の露骨な干渉とマスメディア自身の自主規制、そして国会で始まっている憲法改正につながる議論…徴候はいくらでもあります。

 

しかし、昭和14年当時と現在の日本の違いは、10万にも及ぶNGO,NPOの存在です。福祉、教育、平和、人権…様々なテーマで国民が独自の民主主義と平和の砦を日々築いているのです。日本国憲法だけがそそり立っているのではなく、これを支える石垣を強固にする活動が日本の隅々にまで行き渡っています。

 

女性の人権についていえば、この70年間最も前進したのはこの分野だと思います。にもかかわらず、目的達成までの道のりはまだあります。私たちの「『慰安婦』問題とジェンダー平等ゼミナール」は日本国憲法を守る石垣を強固にするNGOの一つとして、今年も多くの皆様に支えられて前進を続けます。どうか応援してください。お願いします。

 201712日(吉川春子記)

 

2016年12月25日 (日)

陸自のPKO「日報」廃棄と、「従軍慰安婦」

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(ガラス越に見る見事な六義園の銀杏の紅葉~現在は枯れ枝のみ)

PKO活動の「日報」が廃棄されたニュースは2つの重大問題を孕む。一つは「慰安婦」問題に見るように戦争関係の公文書をすべて廃棄してきた旧日本軍以来の体質、もう一つは海外の戦闘地域に自衛隊を送る事の隠ぺいである。

 

 報道によるとアフリカの南スーダン国連平和維持部隊(PKO)に派遣されている陸上自衛隊は、首都ジュバで7月に大規模な武力衝突が発生した際の状況を記録した日報を廃棄していた(東京新聞20161224日)。陸上自衛隊の文書管理規則が定める3年の保存期限に満たないうちに!

ジャーナリストの布施雄二氏が情報公開法に基づき77日~12日の日報を9月末に防衛省に開示請求したところ今月2日付で「すでに廃棄しており、保有していなかった」との通知を受けたことで判明した。廃棄の理由は「上官に報告した時点で使用目的を終えたから」であるという。

     毎晩夜中の12時に!本会議開会のベルは鳴った 

そもそも自衛隊をPKOとして派遣すること自体が憲法9条に違反する。1992年、自衛隊の海外派兵を可能とする「国連平和維持活動協力法(PKO法)」は数国会の攻防を経て、成立した。最終盤、参議院では野党が違憲の立法を阻むために56日(199265日~10日迄)の徹夜の牛歩戦術で抵抗した。死闘とも呼ぶべき肉体的にも過酷な抵抗だった。

私はこの法案審議の特別委員会理事として戦った。審議の中で政府は「自衛隊を戦闘地域には送らない」、「武器の使用は刑法の正当防衛の要件に当たる場合のみしか認めない(刑法の正当防衛要件に当たる場合のみ)」との答弁を繰り返した。この答弁を安倍内閣は反故にした。

昨年、安倍内閣は集団的自衛権の従来の解釈を変え、安保法制の成立で武器の使用の要件を緩和し「駆けつけ警護も可能」とあっさり変えた。そして自衛隊を戦闘地域には送らないとの要件も変えようとしている。

     戦闘地域への自衛隊派遣を可能に

1990年代は盛り上がっていた「自衛隊のPKO活動が憲法9条違反」という議論は今や影を潜め世論(メディアも)も寛大になったと、安倍内閣はタカをくくっている。

南スーダンは武力衝突もあり従来の政府見解でも自衛隊派遣はいまや、不可能な地域である。それをかくすために「日報」を廃棄したと私は疑い持つ。

国連の南スーダン制裁決議にアメリカの非難も顧みず!非常任理事国・日本はロシアなどと共に棄権し廃案にしたのお、「戦闘地」への自衛隊派遣に固執する背景があるからであろう。

重要公文書を「上官に報告した時点で使用目的を終えた」と、一部署の判断で廃棄が決められること自体大問題である。公文書の廃棄か保存かは慎重に、客観的に判断すべきである。

日本は先の侵略戦争における加害責任の証拠の公文書をほとんど廃棄している。この事を反省材料にするどころか、不都合な事実は消し去ろうとする1945年以前の日本軍の体質を政府は今も持ち続けている事に慄然とする。

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(国会図書館に移管された内務省資料、地下書庫で、吉川1996年12月)

     文明国の要件に欠ける国

図書館、博物館、文書館は文明国の3大施設といわれる。特に公文書保管の公文書館制度の整備が日本ではかなり遅れている。図書館は司書、博物館には学芸員という専門職がいるが、文書館に文書士の制度が日本にはない。私も国会で繰り返し専門職(文書士)の制度の設置を求めてきたが制度をつくらず、従事する職員の数も極端に少ない。アメリカのナショナルアーカイブズを視察した時、彼我の差に私は愕然とした。公文書の保管・廃棄・公開は政府の意のままにされている現状は変わらない。

     「河野官房長官談話」発表時、警察資料はなかった

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(警察庁が公開した旧内務省資料。コピーするには膨大なので目録を差し上げますと目録を持ってきた)

1993年宮沢内閣が「河野官房長官談話」発表時に政府の保存していた「慰安婦」関係の公文書を初めて公表した。しかし警察資料は皆無であった。「慰安婦」を「狩り集めた」のは警察であるから資料がないなどとは到底考えられない事だ。

警察資料は199612月に警察庁が私(当時は共産党参議院議員)に提出した物が最初である。この時、「旧内務省資料は受け継いでいない」としてきた警察庁から802点もの旧内務省警保局関係の資料が発見され19978月、国立公文書館に移管された。

この資料を以って1999123日、私は参議院行政改革・税制等に関する特別委員会で追及した結果ようやく警察庁は「特高月報」の存在を認めた。国民弾圧機関の記録を否定し続けた政府の卑劣さに腹が立ってならない。「特高月報」問題を数十年間追及してきた先輩の吉岡吉典参議院議員から「膨大な特高資料が国立公文書館で公開された事は何と痛快ではありませんか」と評価されて私は嬉しかった(吉川春子「国会からの手紙P142・吉川春子国会レポートNo31」)。

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(吉川に届けられた、内務資料一覧目録の背表紙)

 

歴史をきちんと受け継ぐためにも、事実の隠ぺいを許さないために公文書をきちんと保管、公表させることは非常に重大である。博物館、歴史資料館の展示内容に常に目を配ることも、地味ではあるが私たち国民の大切な仕事である。(吉川記)

 

 

 

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